CORK SCREW
楽しい中学生活も終わりに近づき、
そろそろそれぞれの進路を考えなくてはならなかった。
僕には2歳年上の姉がおり、今も「声楽家」として活動している。
その姉に僕が中学3年の時、「音楽室でずっとバンドが演奏しているよ」
という言葉に誘われて、姉の高校の文化祭に行った。
当然、他の教室には興味なくずっと音楽室にいた。
そして、その場で決めた・・・「ここにしよう」
自由な雰囲気、服装は当時では珍しい「私服OK」、
家から自転車で通えるなど条件は整っていた。
唯一の問題点・・・それは「フォークソング部はあるが、
軽音楽部は無い」という事実。
姉曰く「逆に、文化祭などのとき{有志}という形で本当に
やりたい者だけが集まるから、内容は濃いし、一致団結して
るからいいんじゃない?」
僕もそうだと思った。
運良く、合格することができた。
入学式の数日前、学年主任の先生に僕だけ呼び出された。
「入学式で、新入生を代表して挨拶をしてほしい」と告げられた
後にも先にも、学業で一番になったのはこれっきりだが・・・
さて、いよいよ学園生活が始まった。
僕の目的はもちろん、「バンドのメンバー探し」だった。
Vo.兼Gで、中学時代の同級生のO君は決まっていた。
中学の時はフォークをやっていたが
「高校に入ったらエレキを買うから一緒にやろう」と言う
もともと騒がしい奴でそのせいか声量はすごかった。
この時点でVo.として一番大切なものを備えていた。
さて、他のメンバーはどうしたものか・・・
そういえば僕の家の斜め前に引っ越してきた奴が、毎朝一緒の方向へ
自転車で行く。
途中で見失うが、ひょっとしたら同じ高校かもしれない???
ある日いつものようにギターを弾いていると、どこからかギターの音が・・・
「ん?」耳を済ませると・・・どうもあいつの家のほうだ・・・
この時点では僕は友好的ではなく好戦的な感情になっていた。
近所迷惑すれすれ(充分迷惑な(笑))の音量まで上げて「これでもか!」
と弾きまくる。
ふと気がつくと相手の音がしない・・・窓から覗いてみる。
あいつがギターを弾くのをやめてこっちを見てる。
向こうから声をかけてきた。
「ギター・・・・上手いね」
僕「そうかな???」(一応謙虚に)
どちらからともなく家を出て表で会った。
ありふれた挨拶の後、思いがけない幸運が舞い込む。
彼T君「高校一緒だよ。うわさは聞いてる。
ぼくらもバンド組もうと思ってるんだ。
こっちはもう一人ギターがいてね、その兄貴が3年生でブラバンの
部長でドラムやってる。僕はベースでもかまわない
それに、石野真子に似たキーボードも誘えば入ってくれる。」
なんと一気にメンバーがそろったのだ。
しかも石野真子がキーボードを弾いてくれる。(笑)
T君「どんな曲が好き?」
僕 「渚のシンドバッド」
(爆笑)
決まった・・・
(右上に続く)
(続き)
さっそく次の日全員が集まり、「CORK SCREW」は結成された
大所帯である。ギターが、ボーカル兼任も含めて3人、
ベース、ドラム、キーボード。
当時流行っていたボストンや、UFO、サザン、などがレパートリー
となった。
さていよいよ初舞台である、文化祭が迫ってきた。
クラブでなく有志であるわれわれは3年生の先輩主導のもと、
集まって結束を固めていった。
そして、本番で出る順番を決める事になった。
ここは公平にクジ引きで決めるという事になったのだが・・・
ある3年生が僕たちにこう言った。
「君らは1年生やからな・・・わかるよね?」
つまり、クジに関係なく前座扱いで最初に出ろというのである。
冗談じゃない!僕のほうが上手いに決まっている。
内心僕はそう思った。
僕の標的はそいつに決めた。
別のリーダー格の3年生が、
「まぁまぁ、われわれは有志なんだから、
そんな事言わずに学年に関係なく公平にしよう」
と言ってくれた。
事なきを得、僕たちは最後から3番目というまずまずの順番を得られた。
あの3年生は僕たちの次になった・・・のに、後日もっと前の順番と交代を
申し出たらしい。
後で聞いた話だけど、どうやら僕たちのリハーサルを偵察しに来たらしく
「コレはまずい・・・」と思って順番を代わってもらったと言う。
やはり器の小さい奴だった。
姉の七光りもあって、先輩たちは僕らを可愛がってくれた。
特に一番「上手いなぁ・・・」と思った吉岡先輩のトリオに僕はよくなついていた(笑)
そのおかげで色んな事を教えてもらったりできた。
ギターを始めてから、初めて人に教えてもらったという事実。
ライブ本番、音楽室が満員になった。
同級生はもちろん、興味深々の先輩たちも大勢見に来てくれた。
初めて本格的にやる人前での演奏・・・
僕はトランス状態になっていたのか(笑)中央のミキサー席の机に足をのせて
弾いたりもしたらしく、後々そのことを語り草のように言われた。
終わったあと、同級生たちの「良かった!」の言葉もうれしかったが、
先輩たちが笑顔で肩を叩いてくれたのが何よりもうれしかった。
そして・・・
「これで後2年間は安心やな」という言葉にはジーンときた。
1年の若造を認めてくれた・・・感激。
「僕らがこの「有志」を盛り上げていかなければ」という使命感も芽生えた。
しかし、バンドの方は自己主張の強い思春期の若者の集まりらしく、
分裂の危機を迎えることになる・・・・
「楊貴妃」に続く